西原理恵子って凄いなぁと本当に思う。「まあじゃんほうろうき」「できるかな」シリーズ、「鳥頭紀行」「アジアパー伝」「恨ミシュラン」「毎日かあさん」とか結構読んでいるんだけど、いや、かなり好きです。人生の師匠と言ってもいいくらいだ。毒のある生き様が好きー。

映画「ぼくんち」のあらすじ。一太と二太の兄弟は、うらぶれた水平島の中でもビンボー人がふきだまる、うらの港に住んでいる。母親の今日子は買い物に行くと出かけていったきり、もう半年も戻ってこない。父は、元からいない。ある日、母が離れて暮らしていた姉のかの子を連れて帰ってきたが母はまた姿を消す。姉弟3人のささやかな暮らしが始まった。
 親も無く、金も無くとも逞しく生きる一太と二太を見守るのは、ちょっと可笑しな水平島の人たち。町のチンピラ・コウイチは生傷が絶えない乱暴ものだが、女子供には優しい男。猫ばあは、猫のように子供をぽんぽん産んだので猫ばあと呼ばれていて、今は野良猫に囲まれて暮らしている。鉄じいは川のほとりに住んでいて鉄屑を集めている。ビニールハウスに3人の子供と暮らす男やもめ末吉まもるは、コウイチの下請け仕事で食べている。中華屋「新庄」は、味はマズイが町で一軒しかない中華屋なので繁昌している。いつもお巡りに捕まっては刑務所送りになっている子悪党・安藤くんは、二太にいろんな事を教えてくれる。二太の幼なじみのさおりちゃんは、お金のこと以外には興味がなく、二太の想いには気付いてくれない……。
 家の権利書がいつの間にか売られてしまった。家を追われ、かの子は弟たちを養うためにピンサロ勤めに戻り、小さなマンションを借りた。二太は無邪気にかの子に甘えるが、一太は一所懸命働くかの子の姿を見ると素直になれない。かの子の世話になどならず早く独り立ちしたいと、コウイチに裏の商売の手ほどきを受ける。
 二太は一太に誘われて、空家になった“ぼくんち”に忍び込んだ。一太は宝物のバッヂを二太に託すと、二太の手を振り切って、オモテの港を目指して町を出て行った。「いつか金持ちになって、帰って来たる! ・・・姉ちゃんと、仲良うせえよ」。一方、かの子の勤務先には、家出していた今日子が突然ふらっと訪ねてきた。また、男に逃げられたらしい。かの子は呆れながらも、そんな今日子を憎みきれない。かの子は母を許し、ある一つの決断をする。

なんかね、なにもかも切ないです。あっけらかんとした明るさの中にある哀しさっていうんでしょうか。貧しいながらも明るくたくましい子供たちなんだけど、切ないです。貧しいって切ない。切ないけど泣きはしなかったが…。お風呂屋の入り口でニ太が「ぼくんち貧乏なんでっ」、番頭のおばちゃん「入ってよしっ」…。ニ太「お姉ちゃん今まで何してたん?」かのこ「ピンサロっ!」「指なめても無料だけどお○○○ん(自主規制)なめると5,000円もらえるんやで。すごいやろー」…なんか明るいのでピンサロに対する考え方が一瞬変わりかけたような…。
西原理恵子の故郷(高知)を描く漫画はなんか切ない気分になるものが多い。普通の漫画は毒が強くて面白いのに。ちょっと前の日本はどこでも貧しかったのだろう。でも人の少ない地域では今でもこんな暮らしがあって、みんなバカで貧しいけど、明るくて哀しい生活を送っているのかも。