まずいもの

なんたって「ショージ君」 (文春文庫)

なんたって「ショージ君」 (文春文庫)

東海林さだおの自選エッセイ。いろいろな話がのってますが、故中島らもさんとの対話が好き。らもさんは「全日本まずいもの愛好連盟」の会長なのである。でも会長亡くなってしまったから今はないのかな。
まず連はまずいものを探すことが目的である。まずくて喜ぶのだ。
よく考えると、まずい店って淘汰されていくから、結構難しいかもしれない。おいしいと評判の店には行くけど、まずい店に喜んで行く人はなかなかいない。最近、まずい店って行ったかな。期待以下だったとか、あまりおいしくないとか、店員にムカついたとかならあるけど、まずい料理を出すとこって珍しい。なわけで大学の頃の話など。
まずいものと言えば学生時代に自分で料理したもの。一番まずかったのは「タイ風レッドカレー」だったと思う。三越で売ってたカレーのルーの裏側に書いてあったレシピどおりに作ったのだが、どうもこうもまずい。なんとか味をまろやかにしようと思い、牛乳を入れたらピンク色になり、ますますまずさ倍増。見た目もヤバイし味もキツイ。このとき、私は片思いの人をうちに呼んでいて、それを食べさせることになっていた。その人とは幸いなことにその後付き合うことになり、不幸?なことに別れましたが…。その彼は、私がやめろというのにまずいカレーを一生懸命食べた。泣けますね。ちなみに私は一口でやめた。だってもろゲロなんだもん。タイ風という時点で酸味のあるカレー…それにミルク風味がつき…。
次にまずかったもの、ソーメンチャンプルを作ろうと思い、梅干、おかか、しそ、ごま…とソーメンを炒めた。味付けが悪かったのか最悪。それも一口でやめた。
よく具無しの焼きソバや作ったけど、それは好きだった。
なんかこんなこと書いてると、さぞ料理下手な女だと思われることでしょう。いや普通においしいものだって作れるんですよ。得意料理は春巻き←この時点で何か疑問が発生しますね。でもセンスがないことは認める。ちなみに今までの彼氏はみんな料理上手。親の肉じゃががおいしいと思ったことないけど、彼氏の作った肉じゃがは絶品だった。そのおかげで世の中の男性の肉じゃが信仰が理解できた…。

私は学生のとき、盛岡市に住んでいて、大学のすぐ近くに住んでました。歩いて5分。この大学の近くに上田通りという通りがあり、飲み屋が点々とある。雰囲気はほとんどが場末の飲み屋。飲む酒は安ウィスキー。ホワイトホースとかフォアローゼスなど。学生はゼミとかサークルごとに行きつけの店があり、私も毎週通ってた。学生相手だから、値段は安く、料理の量が異常に多い。味は脂ぎってたり、味濃かったりでおいしいとは言い難いけど、学生はおいしいと思っている。油が凄くて、いつも残してもう食べたくないと思うのだけど、次の週にはまた行ってしまうのだ。今食べたら吐くかも…。会計は常に不明朗会計だけど、安いから誰も文句言わない。たとえテーブルの上にネコがいても。外に出ると寮生の女の子が吐いてるのはザラ。やだねー、こんな女子大生。

そういえば当時気になっていた人と飲みに行ったら、案の定、場末のバーみたいな飲み屋に行き、いいちこを飲んだ。当時二十歳…。薄暗い店内には、カウンタ−に私と彼。座敷?に寮生らしき男子学生2人がカラオケをしていた。カウンターの中にはママ。いいちこしかないのか?と思いながら飲んでいると、暗いカウンターの中に蠢くものが!!それは私が人生において2度めに見たゴキブリだった。絶句して固まっていると、ママがそのゴキブリをばっと掴み、カウンターの後ろに投げ捨て、何事もなかったかのような顔をしている。騒ぎ立てるのも変なので、私も笑ってごまかした。その場面、目に焼きついて今でも思い出深い。なんか「あごなしゲンとオレ」みたいな漫画のシュールな一場面であったことは間違いない。東北には飲食店くらいしかゴキはいない。その代わりカマドーマという恐ろしい虫がいる。
おしゃれな店に飲みに行くと、「あー、女子大生っぽい」とか思ったものです。市内の繁華街は歩いてでも行けるんだけど上田通りすぐだったから。まああれはあれで楽しかったです。