私の男

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私の男

直木賞(第138回)】優雅だが、どこかうらぶれた男。一見、おとなしそうな若い女。アパートの押入れから漂う、罪の異臭。家族の愛とはなにか。この世の裂け目に堕ちた父娘の過去を圧倒的な筆致で抉りだす。『別册文藝春秋』連載を単行本化。

同僚から貸してもらったので読んでみた。なんだかドキュソ系女に受けそうだと思った。主人公、腐野花と父、腐野淳吾のなにもかも奪い合う生き方は破滅的だけどどこかうらやましい。本当の親子であり男女の関係でもある2人の秘密を守るために人を2人殺し、共通の罪を持つ。花がまともな結婚をすることによってその関係は終わる。そんな関係をやめたがっていたけど、続けてもいたかった花。淳吾が姿を消したあとは読者の想像に委ねられる。その後、淳吾はきっとどこかの海辺の町で死んだように暮らしているか、故郷の海で自殺してるんじゃないかと私は思う。花もまともな結婚生活は続けられないだろう。
女性は死んだら結婚してれば相手の墓、してなければ家族の墓に入る。花を小さいころ育てた家族は津波で死に、淳吾の家族は父は海で行方不明、母は墓の中。養子縁組をし、同じ苗字になりことにより、自分が結婚しなければ一緒のお墓に入る。骨になっても一緒にいたいと願う花の気持ちは私にはないものだった。だってできれば自分の死体なんて骨の粉さえ消滅して欲しいし、まあどうでもいいかなとか思ってる。骨は骨以上も以下もない。その人だったものではあるけどその人ではない。好きな人には先立たれたくないですね。ずるいかもしれないけど自分が先に死にたい。この本は愛よりせつない死の印象が強かったような気がする。
しかし東京の安アパートの押入れで死蝋化って可能なのかなー。「うぶめの夏」でも可能だったみたいだからできるんかね。
http://www.nazoo.org/phenomena/rosalia.htm
すごいなー。きれいですね。